秋猫日記

人生観や音楽関連の文章が主な不定期日記

6÷2(1+2)=?(出題編)

 

 2月も終盤、就活の二文字が頭からどっかいってしまっている問題。恐らく私は就活しないことになると思います。すなわち院進です。まあ現状の実力では受かりそうもないんだけど。3年間で勉強したこと全て忘れてるからね。おわた。

 

 

 そんなこんなで今週のTOEICとかもやる気全く出ず、代わりに数研一級を申し込んできました。院試よりは簡単だろうし、数学科が受からんかったらぶっちゃけ笑い者だと思うので真面目に挑む所存。てか高いね一級。TOEICより高い。ワンチャン教育実習関連の事前打ち合わせと日程被りそうで怖い。実れ俺の8000円。

 

 

 

 ところで今回はとある数学?の問題を一つ。

 

 先日、友人から唐突にタイトルの問題を出され、色々と疑心暗鬼になってしまった。実は10年前にFacebookで話題になったらしくwikiのページもある程の知名度だったのだが私は全く知らなかった。お恥ずかしい。

 

 で、この問題の答えは大きく1派と9派、そしてそもそも解答不能派に分かれている。各意見の根拠としては、

 

 1派:2(1+2)=6より、6÷2(1+2)=6÷6=1.

 9派:6÷2(1+2)=6÷2×(1+2)=3×(1+2)=9.

 解答不能派:解が上記の様に一意に定まらないから、抑々表記が悪い、etc.

 

みたいな感じ。

 

 聡い読者の方ならこの問題、幾つもの数学的表記の欠点というか曖昧性というかそういったものの積み重なった結果であることがお分かりだろう。考えれば考えるほど混乱するこの問題。という訳でどういった点に問題が潜んでいるかを考えたい。

 

 

 四則演算の順序

 一般に小学校で四則演算等の計算順序について「(括弧内の計算)>(乗法と除法)>(加法と減法)」の優先順位を適応すると習う。そしてミソなのがもう一つ。「同優先順位の演算においては左から右へ順に計算する」という鉄則である。

 難しい話をするとこれらの規則は「当然のもの」ではない。というのも、別にこれらの規則が数学における定義ではないのだ。詳しく述べると

 

自然数(ここでは数学基礎論自然数として0を含む)をペアノの公理によって定義する際に後者関数という関数が同時に定義され、その後者関数をもとに加法が定義でき、また加法の複数回試行として乗法を定義できる。そして代数学においてこの加法、乗法をもとに『体』という概念を定義すると、実際に実数上に加法と乗法がwell-definedであり実数が体としての条件を満たすことが分かる。そこで加法についての逆元の加算と乗法についての逆元の乗算をそれぞれ減法、除法と便宜的に設定すると、実数上で四則演算の優先順位が先述の通りに成り立つことが導かれる

 

となる。はい長かったですねすみません。ちなみに割と知られている「1+1=2の証明」問題は後者関数を用います。1+1=2自体は定義ではないので証明しようと思えばできるというやつです。

 

 そして上に記したように、実は減法と除法、即ち「-」と「÷」の概念は基本的に代数学において定義されません。結局負の数の加算や分数等の乗算に帰着できるからです。

 

 では話を戻して、「6÷2(1+2)」に関してこの演算順序に当てはめて考えたいのだが、ここで一つ問題が。

 

 

 掛け算の省略か、それとも

 問題なのは「2(1+2)」の部分。ここが分岐点。

 

 中学以降の数学において、乗算の「×」を省略する文化が現れる。いや厳密に言えば「操作としては乗算と同一の試行をとる省略表現が現れる」となるか。

 

 例えば「y=2x」は「変数yは変数xに2を掛けた値」を意味したり、「xyz」は「変数x,y,zの積の値」を意味するわけだ。

 

 つまり「6÷2(1+2)=6÷2×(1+2)」となるから、あとは四則演算の順序に従って、答は9である。はい解決。そう思いたいけど、なにか違和感。何かが違う。2xと2(1+2)で何がこうも違和感を、乖離感を生むのか。

 

 ここで気付くのが「変数」の登場である。そう、掛け算の省略表現は一般に変数が絡むところに現れる。2×3を23と表記することは無いだろう。これじゃロクなのかニジュウサンなのか分からない。じゃあ「2(1+2)」って……何なん?

 

 

 ※ここから注意

 

 

 「z=6÷2(x+y)」という式を考えよう。zはx,yからなる2変数関数f(x,y)とも表現できる。とにかくこの式に(x,y)=(1,2)を代入してみよう。するとどうなるか。項 2(x+y)を計算すると6になるので結局 z=6/6=1である。答は1ですね。

 

 

 やっぱり、おかしかったのは「2(1+2)」だ。この表記がいけない。掛け算を省略するのは変数が絡んでいないといけない。文字式になってないといけない。

 

 さらに言えば、多項式 z=6÷2(x+y)においては項 2(x+y)が先に計算されるのに、変数が絡まない「6÷2(1+2)」のバージョンじゃその性質が明確に成立しない。

 

 では結論。本問は表記法が掛け算の省略記号の扱いを間違えた悪問である。よって数学的に厳密性を担保されていない。解が一意に出る訳ない、それ以前の問題である。以上。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さあ、読者の皆様。どこかに”おかしかった”ところはありませんでしたか?

 

 

 

 

 

 次回、解答編。齟齬を炙り出せ。